ああもすればよかったと思うこともないではないんですけれど、今では後の祭ですし、それに何より美佐子の決心が堅いんですから、………」
いつの間にか土庇の外からさしている日の光が弱くなって、部屋の隅々に暗い蔭が作られていた。
老人は上田紬の万筋の単衣の下に夏痩せのした膝頭をそろえて、団扇で蚊遣りの煙を追いながら、思いなしか眼ぶたをしばだたいているのは、除虫菊に咽んだのかも知れない。
ああもすればよかったと思うこともないではないんですけれど、今では後の祭ですし、それに何より美佐子の決心が堅いんですから、………」
いつの間にか土庇の外からさしている日の光が弱くなって、部屋の隅々に暗い蔭が作られていた。
老人は上田紬の万筋の単衣の下に夏痩せのした膝頭をそろえて、団扇で蚊遣りの煙を追いながら、思いなしか眼ぶたをしばだたいているのは、除虫菊に咽んだのかも知れない。