どう説きつけられたのか、「年寄りの気にさからっては無事にまとまりのつくべきものも壊れてしまうから」と途々たしなめられて来たのが腹にあったのでもあろうか、美佐子は十五分もすると不承々々に父親と一緒に降りて来て、廊下に立ちながらそっと顔を直してから、一と足先に表へ出た。
「さあ、じゃあちょいと行って来ますよ」
と、紗の宗匠頭巾を被った、宝井其角と云ういでたちで奥から現れた老人は、玄関まで送って出たお久と要とにそう云い残すと、白足袋の足に利久を穿いた。
どう説きつけられたのか、「年寄りの気にさからっては無事にまとまりのつくべきものも壊れてしまうから」と途々たしなめられて来たのが腹にあったのでもあろうか、美佐子は十五分もすると不承々々に父親と一緒に降りて来て、廊下に立ちながらそっと顔を直してから、一と足先に表へ出た。
「さあ、じゃあちょいと行って来ますよ」
と、紗の宗匠頭巾を被った、宝井其角と云ういでたちで奥から現れた老人は、玄関まで送って出たお久と要とにそう云い残すと、白足袋の足に利久を穿いた。