掛け軸の前の香盆に染め付けの火入れが置いてあるので、始めてそれと気がついたのだが、さっきから微かに香っているのは大方あれに「梅が香」が薫じてあるのであろう。
ふと、要は床脇の方の暗い隅にほのじろく浮かんでいるお久の顔を見たように覚えた。
が、はっとしたのは一瞬間で、それは老人の淡路土産の、小紋の黒餅の小袖を着た女形の人形が飾ってあったのである。
掛け軸の前の香盆に染め付けの火入れが置いてあるので、始めてそれと気がついたのだが、さっきから微かに香っているのは大方あれに「梅が香」が薫じてあるのであろう。
ふと、要は床脇の方の暗い隅にほのじろく浮かんでいるお久の顔を見たように覚えた。
が、はっとしたのは一瞬間で、それは老人の淡路土産の、小紋の黒餅の小袖を着た女形の人形が飾ってあったのである。