谷崎潤一郎 『蓼喰う虫』 いつしか逃げ込んで来た青蛙が一匹、頻にゆらぐ蚊帳の中途に飛びついたまま光った腹を行燈の灯に照らされている。 「いよいよ降って来ましたなあ」 襖が明いて、五六冊の和本を抱えた人の、人形ならぬほのじろい顔が萌黄の闇の彼方に据わった。 谷崎潤一郎の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア