その理由でござりますかとその男はやや躊躇してからいった、それをお話し申しましてもよろしゅうござりますけれども見ず知らずのあなたさまをこんなところにいつまでもお引きとめしておきまして御迷惑ではござりますまいか。
でもそこまで伺ってあとを伺わないのでは心のこりです、そんな御遠慮にはおよびませぬというとありがとうござりますそれならお言葉にあまえまして聞いていただきますがといってさっきの瓢箪を取り出して心のこりと申せばここにまだこれだけござります、先ずそのまえにこれをかたづけてしまいましょうと盃をわたしに受けさせてまたあの、とく、とく、という音をさせるのである。
さてそのひょうたんの酒をきれいに湑んでしまってからその男は語りつぐのであった。