おばの言葉を借りますなら「お遊さんという人は徳な人だった」と申しますので自分の方からそうしてほしいというわけでもなくまた威張ったり他人をおしのけたりするのでもござりませぬが、まわりの者がかえっていたわるようにしましてその人にだけはいささかの苦労もさせまいとして、お姫さまのように大切にかしずいてそうっとしておく。
自分たちが身代りになってもその人には浮世の波風をあてまいとする。
おゆうさんは、親でも、きょうだいでも、友だちでも、自分のそばへ来る者をみんなそういう風にさせてしまう人柄だったのでござります。