その妹といいますのはお遊さんが芝居へつれてきておりました「おしず」という娘のことなのでござりましてそのうえの妹はもうよそへかたづいておりましてお静さんがちょうど年頃になっておりました。
父は芝居のときに見ておりますから顔をおぼえていたわけでござりまして叔母にそういわれましたときによほどかんがえたらしいのでござります。
と申しますのはおしずさんも美人でないことはない、お遊さんとは顔だちが違っていたのでござりますけれどもやはりきょうだいでござりますから何処かにお遊さんをしのばせるようなところはある、しかし何よりも不満なのはお遊さんの㒵にあるあの「蘭たけた感じ」がない、お遊さんよりずっと位が劣って見える、おしずさんだけを見ていればそうでもござりませぬけれどもお遊さんとならべましたらお姫さまと腰元ほどのちがいがある、それゆえもしおしずさんがお遊さんの妹でなかったら問題にならなんだかも知れませぬがお遊さんの妹であるゆえにお遊さんとおなじ血がその体の中にかよっておりますゆえに父はおしずさんも好きだったのでござります。