と申しますのはおしずさんも美人でないことはない、お遊さんとは顔だちが違っていたのでござりますけれどもやはりきょうだいでござりますから何処かにお遊さんをしのばせるようなところはある、しかし何よりも不満なのはお遊さんの㒵にあるあの「蘭たけた感じ」がない、お遊さんよりずっと位が劣って見える、おしずさんだけを見ていればそうでもござりませぬけれどもお遊さんとならべましたらお姫さまと腰元ほどのちがいがある、それゆえもしおしずさんがお遊さんの妹でなかったら問題にならなんだかも知れませぬがお遊さんの妹であるゆえにお遊さんとおなじ血がその体の中にかよっておりますゆえに父はおしずさんも好きだったのでござります。
が、さればといっておしずさんでがまんするというところまでは容易にけっしんがつかないのでござりました。
それはそういうつもりで貰ったのでは第一おしずさんにすまなくもある、それにまた父はお遊さんに対してどこまでも純なあこがれを持ちつづけたい、一生お遊さんというものをひそかに心の妻としておきたいというような意地がござりまして妹にもせよ外の人を女房にしましては、その、自分の心持がおさまらないのでござります。