小曾部の家には母親がおりませなんだし、そこへ持ってきてお遊さんがひまな体でござりましたからおしずさんは月のうち半分ぐらいは粥川の方へとまりに行っているというようなぐあいでどっちの家の娘だか分らないようにしておりましたので自然お遊さんの出る幕が多かったのでござりますがそれが父にはねがってもない仕合わせだったのでござります。
父はもともと目的がそこにあったのでござりますからなるべく話を引っぱっておくようにしまして二度も三度も見合いをして半年ばかりぐずぐずにしておきましたのでそんなことからお遊さんも叔母のところへ足しげく来るようになりました。
そのあいだには父とも話をするようなことがござりましてだんだん父というものがわかってまいったのでござります。