そしていいますのにはみんながわたしをたいせつにしてくれるのはありがたいが私はそれをあたりまえにおもうように育てられてきていることを承知でいてもらいたい、いつでも人がたいそうらしく扱ってくれたら機嫌がよいというのでござります。
お遊さんのいかにも子供らしい我がままの例を申しましょうならあるとき父にもうよいというまで息をこらえていてほしいといって手を父の鼻のあなの前にかざすのでござりました。
ちちはいっしょけんめいにがまんをしておりましたけれどもようこらえなくなりまして少しいきを洩らしましたらまだよいといわなんだのにとえらくむずかり出しましてそんならといって指でくちびるをとじ合わせたり、ちいさな紅い塩瀬の袱紗を二つにたたんで両端を持ってぴったり口にふたをするのでござりましたがそういう時はいつもの童顔が幼稚園の子供の顔のようにみえて二十を越した人のようにはおもえなんだと申します。