いいえ、まだその時分ようよう十ぐらいだったのでござりまして父はわたくしを子供とみとめずにはなしたのでござります、さればそのときはもちろん理解いたしませなんだが言葉どおりに記憶いたしておりましてふんべつがつきますにしたがってだんだんとその意味を解いてまいったのでござります。
なるほど、ではうかがいますけれどもお遊さんとお父上とのかんけいが仰っしゃるとおりであったとするとあなたは誰の子なのです。
御尤もなおたずねでござります、それを申し上げませぬことにはこのはなしの鳧がつきませぬからごめいわくでも今しばらくおききをねがいとうござりますが父がお遊さんとそういうふうなふしぎな恋をつづけておりましたのはわりにみじかいとしつきのことでござりましてお遊さんの二十四、五さいからほんの三、四年のあいだだったのでござります。