それはそのまえからお遊さんが妹夫婦とあまりいききをしすぎるということが小曾部の方はなんともいうものはござりませなんだが粥川家の方でしゅうとめや親類のあいだにぽつぽつうわさのたねになっておりましてお静さんの気が知れないというようなことを申す者が出てまいりました。
じっさいまたおしずがそこをどんなに巧くこしらえましたにいたしましても長い月日のうちにはしぜんうたがいの眼があつまってまいりますはずで芹橋の嫁は貞女が過ぎる、姉孝行にもほどがあるというかげぐちがやかましくなってまいりますにつけても三人のほんとうの胸のうちをさっしておりました叔母だけがひとりしんぱいしておったのでござります。
しかし粥川家の方でもさいしょは噂をとりあげもいたしませなんだが一が亡くなりましたときに母親の注意が足らなんだという批難がおこってまいりましたのはそれはもうなんといわれましてもお遊さんのおちどなのでござりまして子供をいつくしむこころがうすらいでいたわけでもござりますまいけれども日頃からばあやまかせにするくせがついておりましたので看病のあいまに半日ほどの暇をぬすんでぬけて出ましたらそのあいだにきゅうに様子がかわりまして肺炎になったのだそうにござります。