そういうわけでお遊さんは実家へもどってまいりましたが小曾部のいえは当時兄さんがそうぞくいたしておりましたのであれほど親たちが可愛がっていた人のことでござりますし粥川家の仕打ちがあんまりだからというつらあての気味もござりましてそりゃくにはあつかいませなんだけれどもそこは親たちがおりましたときのようにはまいりませぬから何かにつけてえんりょがあったことでござりましょう。
それに、小曾部のいえがきゅうくつでしたらわたしのうちへきていらっしゃいとお静がすすめましたけれどもそういうことをいいふらすものがあるあいだは慎しんだ方がよいからとそれは兄がとめました。
おしずの説では兄は事によるとほんとうのことを知っていたのではないかと申すのでござりましてあるいはそうらしくもおもわれますのはそれから一年ほどたちまして再縁をすすめたのでござりました。