なんでもお遊さんが来てくれたら伏見の店などへはおいておかない、巨椋の池に別荘があるのを建て増してお遊さんの気に入るような数寄屋普請をして住まわせる、それはそれはていちょうにして粥川にいたときよりももっと大名式に暮らせるようにしてあげるとけっこうずくめの話でござりましたので兄はのりきになりましてやっぱりそなたには福運がついてまわっている、そういうところへよめに行ってとかくの取りさたをする奴らをみかえしてやったらよいではないかとときつけるのでござりました。
そればかりでなく父やおしずをよびまして世間のうわさを打ちけすためにもここは二人から上手に持ちかけてとくしんさせてもらいたいとのっぴきならぬようにいうのでござります。
ちちがこのときにもしどこまでも恋をつらぬくけっしんでござりましたら心中いたしますよりほかはござりませなんだ。