いや、その時もちょうど此の程じゅうのようにえらい人出でござりまして、橋の上にも橋の下にも見物の衆が一杯でござりましたわい。
愚僧はそんな雑沓の中へ出かけたところで仕様がござりませぬけれども、見えない眼にもおいとしい方々の御最期を拝みとうて、大勢の人に揉まれながらお仕置場の際まで参って、女房衆のお泣きになるお声や見物人の何や彼やと取り沙汰するのを聞いていたのでござります。
それ故よう知っておりますが、つい此の河原に二十間四方も堀を掘りまして、ぐるりへ鹿垣を結いましてな、殿のお首はその垣の中に、西向きに据えてござりました。