それが、―――まあ、お聞きなされませ、その治部殿が、六年前に関白殿を曝し首になされたつい近くの橋の袂で、同じ姿におなりなさろうとは、因果でのうて何でござります」
語勢に力を付けたはずみに痰がつかえたのでもあろうか、喘息病みのように咽喉の奥をぜい/\鳴らして息を入れた。
が、それにしても此の法師は、町の人たちが噂するような狂人であろうか、こんな工合に話す様子を今宵始めて見るのであるが、こうして面と向いながらその云うところに耳を傾けると、なるほど、奇人であるかは知れないが、狂人であるとは考えられない。