行者の云うことがほんとうなら、同じ主家に奉公をした侍がこんな姿に落ちぶれているのは、今のわが身に思い合わせて満更哀れでないこともない。
ましてこれほど熱心に話したがっているものを無下に断るのも不本意であり、又殿様にも関係のあるらしい昔語を聞いてみたくもあるけれども、さしあたっての当惑は、ついうか/\と引き留められて、いつの間にか時刻が移って来たことであった。
乳母は夜露にしっとりと湿って重くなっている娘の袂に触ってみて、追い/\冷えて来るのに、風邪を引かせてはならないと思った。
行者の云うことがほんとうなら、同じ主家に奉公をした侍がこんな姿に落ちぶれているのは、今のわが身に思い合わせて満更哀れでないこともない。
ましてこれほど熱心に話したがっているものを無下に断るのも不本意であり、又殿様にも関係のあるらしい昔語を聞いてみたくもあるけれども、さしあたっての当惑は、ついうか/\と引き留められて、いつの間にか時刻が移って来たことであった。
乳母は夜露にしっとりと湿って重くなっている娘の袂に触ってみて、追い/\冷えて来るのに、風邪を引かせてはならないと思った。