二人が躊躇するのを見て、行者は新たな提議をした。
なるほど、こんな時刻にこんな所で立ち話をしてもいられないし、帰り路の心配もあるであろうから、強いておすゝめは出来ないけれども、それなら一寸、愚僧と一緒に畜生塚へお参りをして下さらぬか。
もしお身たちが治部少輔殿の後生を弔うつもりであるなら、何を措いても関白殿の一族を回向することが大切である、あの人たちは草葉の蔭で今も治部殿を恨んでいるので、彼等の霊を慰めることが、此の佛に対しても何よりの功徳になる、長くはお引き留め申さないから、その上でお宿へお帰りになるのもよいし、夜路が淋しいと思し召したら、むさい所ではあるけれども、愚僧の庵で一と夜をお明かしなされてもよくはないかと云うのであった。