しかしながらそれは表面の経路であって、彼が石田家を浪々した真の事情は他に存する。
蓋し左衛門尉は主人三成の密旨を受けて、当時兎角の噂のあった秀次一家の動静を探るために、細作となって聚楽の邸へ奉公をしたのである。
彼がそう云う使命を授けられたのは、主人三成の信任が厚かったのに違いないが、前述の如く音曲の嗜みがあったと云うことゝ、その頃の撿挍として有名な伊豆圓一と懇親な間柄であったことゝが、三成をして彼に眼星をつけさせた有力な理由だったのであろう。
しかしながらそれは表面の経路であって、彼が石田家を浪々した真の事情は他に存する。
蓋し左衛門尉は主人三成の密旨を受けて、当時兎角の噂のあった秀次一家の動静を探るために、細作となって聚楽の邸へ奉公をしたのである。
彼がそう云う使命を授けられたのは、主人三成の信任が厚かったのに違いないが、前述の如く音曲の嗜みがあったと云うことゝ、その頃の撿挍として有名な伊豆圓一と懇親な間柄であったことゝが、三成をして彼に眼星をつけさせた有力な理由だったのであろう。