座頭はめくらの藝人であって専ら座興を添えることを職業としており、全く武力のない不具者であるから、人々も油断をするので、警戒の厳重な大名の家庭へも案外たやすく這入ることが出来、時には主人の左右にも仕え、高貴な婦人方の身辺にも近づく機会を得たのである。
されば当時の武将たちが彼等を間牒に放った例は諸書に散見するのであって、分けても陶晴賢がめくら法師を間者として毛利元就の行動を知ろうとした話は、最も人口に膾炙している。
老獪な元就はそのめくら法師が敵方の廻し者であることを感づきつゝ反間苦肉の策謀を運らし、逆に彼を利用して晴賢を厳嶋へ誘い出した。