以下の公卿衆、大名衆、紹巴、昌叱などの方々も、めい/\短冊を染められまして、さてかねの鳥居、仁王門をお通りになり、蔵王堂へ御参詣なされ、南朝の皇居のあとをおとぶらいなされましてから、桜ヶ嶽、今熊野、たってん山、聖天山、弁才天山など、峰々の花をお眺め遊ばして、昔義経が暫く忍んでおりましたと云う吉水の城を御旅館にお充てなされました。
そこのお宿に殿下は二日御逗留でござりましたが、警護の武士などきびしゅう番をするには及ばぬ、小姓ばかりを詰めさせて置けば仔細はないから、誰も/\思い/\の花見をせよと仰っしゃって、酒や肴を賜わったのでござりました。
今申しましたお歌の会は、その折のお催しでござりまして、殿下の遊ばされましたのは、