蓋し此の夫人、秀次の正室であった一の台の局の不幸が、やがて順慶の不幸の因となったことを思えば、これこそ此の物語中の主要な部分であるべきだけれども、而も「聞書」はその肝腎な事実について餘り多くを語っていない。
と云うのは、誰よりもその間の消息に通じている筈の順慶自身が、何故かそれに触れることを避けるようにしているのである。
彼は頻りに一の台の局の不遇と逆境とを口にする。
蓋し此の夫人、秀次の正室であった一の台の局の不幸が、やがて順慶の不幸の因となったことを思えば、これこそ此の物語中の主要な部分であるべきだけれども、而も「聞書」はその肝腎な事実について餘り多くを語っていない。
と云うのは、誰よりもその間の消息に通じている筈の順慶自身が、何故かそれに触れることを避けるようにしているのである。
彼は頻りに一の台の局の不遇と逆境とを口にする。