二人は四明が嶽の頂きから、互に自分の故郷だと聞かされている方角を瞰おろしては、たわいのない夢のような空想を浮べずには居られなかった。
或る時千手丸は近江の国を眺めやって、うす紫の霞の底に輝いて居る鳰海を指しながら、
「ねえ瑠璃光丸、あすこが浮世だと云うけれども、そなたは彼処をどんな土地だと思うて居る。
二人は四明が嶽の頂きから、互に自分の故郷だと聞かされている方角を瞰おろしては、たわいのない夢のような空想を浮べずには居られなかった。
或る時千手丸は近江の国を眺めやって、うす紫の霞の底に輝いて居る鳰海を指しながら、
「ねえ瑠璃光丸、あすこが浮世だと云うけれども、そなたは彼処をどんな土地だと思うて居る。