女人と云うものは、猛獣や大蛇などに似ても似つかない、弥生の花よりもきらびやかで、御佛のように情深いものだと云うことが、こま/″\と書いてある筈でございます。
千手丸さまは、長者の娘ばかりか多くの女人に恋い慕われて、明日は神崎、きょうは蟹島、江口と云うように、処々方々を浮かれ歩いて、二十五菩薩よりもうるわしい遊女の群にかしずかれながら、春の野山を狂い飛ぶ蝶々のような、楽しい月日を送っておいでになるのでございます。
かほどに面白い浮世とも知らずに、わびしく暮らしておいでになるあなた様の御身の上を考えると、お気の毒でなりませんので、成ろう事ならそっと深草の里へお迎え申して、昔のよしみに此の仕合わせを分けて上げたいと、かように主人は申して居ります。