かほどに面白い浮世とも知らずに、わびしく暮らしておいでになるあなた様の御身の上を考えると、お気の毒でなりませんので、成ろう事ならそっと深草の里へお迎え申して、昔のよしみに此の仕合わせを分けて上げたいと、かように主人は申して居ります。
私がお見受け申しても、あなた様は千手丸さまにも勝った美しい、愛らしいお稚児でいらっしゃるのに、こう云う山の中でお果てなさるのは、あまり勿体のうございます。
あなた様のようなお立派な御器量のお方が、世の中へお出でになったら、どんなに人々から持て囃されいとしがられるでございましょう。