「まろは、此の世で苦労する代りに、後の世で安楽を享ける積りだと、千手どのに伝えておくれ。
此の文を持って居ると却って心の迷いになる、どうぞ此れも、ついでに持って帰っておくれ。
男が不思議そうに眼をしばだゝいて、何事をか云おうとして居る隙に、急いで瑠璃光は文殻を地に投げ捨てゝ、後をも見ずに宿房の方へ姿を消した。
「まろは、此の世で苦労する代りに、後の世で安楽を享ける積りだと、千手どのに伝えておくれ。
此の文を持って居ると却って心の迷いになる、どうぞ此れも、ついでに持って帰っておくれ。
男が不思議そうに眼をしばだゝいて、何事をか云おうとして居る隙に、急いで瑠璃光は文殻を地に投げ捨てゝ、後をも見ずに宿房の方へ姿を消した。