その晩私は、いつもよりも多量にウヰスキーを呷って、三友館の二階の貴賓席に上り込んで居た。
何でももう十時近くであったろう、恐ろしく混んでいる場内は、霧のような濁った空気に充たされて、黒く、もくもくとかたまって蠢動している群衆の生温かい人いきれが、顔のお白粉を腐らせるように漂って居た。
暗中にシャキシャキ軋みながら目まぐるしく展開して行く映画の光線の、グリグリと瞳を刺す度毎に、私の酔った頭は破れるように痛んだ。
その晩私は、いつもよりも多量にウヰスキーを呷って、三友館の二階の貴賓席に上り込んで居た。
何でももう十時近くであったろう、恐ろしく混んでいる場内は、霧のような濁った空気に充たされて、黒く、もくもくとかたまって蠢動している群衆の生温かい人いきれが、顔のお白粉を腐らせるように漂って居た。
暗中にシャキシャキ軋みながら目まぐるしく展開して行く映画の光線の、グリグリと瞳を刺す度毎に、私の酔った頭は破れるように痛んだ。