「夢の中の女」「秘密の女」朦朧とした、現実とも幻覚とも区別の附かない Love adventure の面白さに、私はそれから毎晩のように女の許に通い、夜半の二時頃迄遊んでは、また眼かくしをして、雷門まで送り返された。
一と月も二た月も、お互に所を知らず、名を知らずに会見していた。
女の境遇や住宅を捜り出そうと云う気は少しもなかったが、だんだん時日が立つに従い、私は妙な好奇心から、自分を乗せた俥が果して東京の何方の方面に二人を運んで行くのか、自分の今眼を塞がれて通って居る処は、浅草から何の辺に方って居るのか、唯それだけを是非とも知って見たくなった。