お願ひする方では、ほんの形式に、お名前だけを拝借するくらゐなつもりであつたが、御本人の意気ごみはなか/\さうでなく、結納の取り交しから式の当日まで、ずゐぶん世話を焼いて下すつたし、娘のことも親身になつて案じて下すつた。
久保田万太郎君の話だと、先生としても奥さんとお揃ひであゝ云ふ席へ出られたことは、先生一代のうちであの時が最初の最後であつたらうと云ふ。
あの時、来賓総代として両家の万歳を唱へて下すつた戸川秋骨先生が、あれから間もなく逝去されたかと思ふと、今また先生の訃音に接するとは、まことに人事匇忙の感が深い。