と、秋声氏は、其処へ蹣跚と通りかゝつた痩せぎすの和服の酔客を呼び止めて、「泉君、泉君、いゝ人を紹介してやらう―――これが谷崎君だよ」と云はれると、我が泉氏ははつと云つてピタリと臀餅を舂くやうにすわつた。
私は、自分の書くものを泉氏が読んでゐて下さるかどうかと云ふことが始終気になつてゐたゞけに、此の秋声氏の親切は身に沁みて有難かつた。
秋声氏はその上に言葉を添へて、「ねえ、泉君、君は谷崎君が好きだろ?
と、秋声氏は、其処へ蹣跚と通りかゝつた痩せぎすの和服の酔客を呼び止めて、「泉君、泉君、いゝ人を紹介してやらう―――これが谷崎君だよ」と云はれると、我が泉氏ははつと云つてピタリと臀餅を舂くやうにすわつた。
私は、自分の書くものを泉氏が読んでゐて下さるかどうかと云ふことが始終気になつてゐたゞけに、此の秋声氏の親切は身に沁みて有難かつた。
秋声氏はその上に言葉を添へて、「ねえ、泉君、君は谷崎君が好きだろ?