夫は警戒した方がよいと云うのであるが、ほんとうにそんなものであろうか、その沢崎と云う家がどんなお金持か知れないが、二度目で、子供が二三人もある男に比べて、そんなに滑稽扱いするほど雪子ちゃんが見劣りするであろうか、蒔岡家だって由緒正しい家であるのに、と云う風にも彼女は云って見たかった。
そして貞之助も、そう云う風に云われてしまうと、それには言葉を返し得ず、そう此方を安っぽく見ては泉下の養父に対しても相済まないし、雪子にも気の毒のように思えるのであった。
夫婦はまる一と晩考えて、兎に角雪子が何と云うか、雪子次第にするのが宜しかろうと云う結論になったが、翌日幸子から、二通の手紙の要領を話してそれとなく意向を尋ねると、これは思いの外にそう厭のような様子でもなかった。