雪子は自分の「若さ」が話題にされつつあることを感づいているらしく俯向いていたが、ただ、難を云えば、あの眼の縁の翳りが、この頃は殆ど始終消えないでいることであった。
幸子は、たしか去年の八月であったか、ペータアの出帆を見送りに、悦子を連れて雪子が横浜へ立つと云う前の晩、久し振で彼女の顔にそれがうっすら現れたのを認めたのであったが、あれから此方、時々そのシミが濃くなったり薄くなったりすることはあるけれども、完全に消えてしまうことはないようになった。
勿論薄くなっている時は、知らない者には分らない程度であるが、気にする者には非常に微かに痕が残っていることが分った。