幸子は今日、悦子が側を離れないために雪子と明日の打ち合せをする暇がなかったので、さっき、蛍狩の路で二人きりになった機会に、雪子ちゃん、明日はお午に会うのんやで、………と、耳打ちをしかけたのであった。
が、雪子が、ふん、と云っただけで、あとを聞こうともせず、闇の中をしずかに附いて来るだけなので、幸子も接穂がなく、黙ってしまったのであったが、妙子が云うように、この気楽そうな鼾を聞いては、明日の会見をそんなに気に懸けているようには思えないのであった。
「雪姉ちゃん見たいに何遍もしたら、見合いも平気になるもんか知らん」