悦子は、こいさんは今度甲麓荘と云う家に仕事部屋を借りたので、寝起きもそこでするようになったのであると云い聞かされて、疑いながらも納得していた。
幸子と雪子とは、今迄にしても妙子の顔を見ないことが多かったのであるから、何もそんなに前と変ってはいないのである、と云う風に思うようにしたが、事実、家庭の中にぽかんと穴のあいたような感じがあったとすれば、それは前からのことなので、特に今度の出来事のためにそうなったと云う訳ではなかった。
ただ、一人の妹が日蔭者になってしまったこと、―――それを考えると彼女達は佗びしかった。