幸子は暮れに風邪を引いてから寒さに怯えて、ずっと引き籠ってばかりいたが、映画好きの雪子も、ひとりでは決してそう云う所へ出歩かなかった。
いったい彼女はこの年になっても人みしりが強く、ちょっとした買い物に出かけるのにも誰かを連れて行くと云う風なので、幸子は彼女に稽古事をさせるために、自分も附き合って習字や茶の湯の師匠の許へ通っていたが、そんな風でも困るからと云うので、三度に一度はひとりで行かせるようにした。
それから、去年以来どうしても実行させようと思っていたこと、―――あの顔のシミを取るための注射を、隔日に一回受けに行かした。