いったい彼女はこの年になっても人みしりが強く、ちょっとした買い物に出かけるのにも誰かを連れて行くと云う風なので、幸子は彼女に稽古事をさせるために、自分も附き合って習字や茶の湯の師匠の許へ通っていたが、そんな風でも困るからと云うので、三度に一度はひとりで行かせるようにした。
それから、去年以来どうしても実行させようと思っていたこと、―――あの顔のシミを取るための注射を、隔日に一回受けに行かした。
注射は阪大の皮膚科の意見に従って、女性ホルモン剤とヴィタミンC剤とを、櫛田医師の所へ行ってして貰うのであったが、そんなことと、週に二回悦子のピアノの稽古がある日に、あとでおさらいをしてやることとが、近頃の雪子の仕事であった。