幸子ははっとして、陣場さん何とか云うておられたでしょうか、と云うと、ええあの、………と、ちょっと躊躇しながら、お世話したんだけれどはっきり断られちまったって云っていらしったわ。
………陣場さんきっと怒っておられるのでしょうね、と云うと、さあ、そうかも知れないけど、そう云ったって縁がないものは仕方がないわ、そんなことで一々怒ってたら縁談の世話なんて出来やしないじゃありませんか、あたしは決して野暮は云いませんから、お会いになってお嫌だったら御遠慮なくお断りになったらいいわ、そんなにむずかしくお考えにならないで、気軽にいらしって戴けないか知ら、………ねえ、兎も角も会うだけ会って御覧になるように雪子さんに仰っしゃってよ、会いもしないでお断りになったら、それこそあたし怒ってよ。
………そう云って丹生夫人は、自分の方は孰方にしても座敷を申込んだことであるから、定刻には橋寺氏を誘って約束の場所へ出かけて行くつもりなので、御返事のお電話を戴くには及ばない、大概お越しになるものと思ってお待ちしている、………と云うのであった。