貞之助と雪子とは、橋寺が二人の女ギャングに小突かれて揉みくちゃにされる様子を、笑って見ているより外はなかった。
今日のは全然見合いと云う心組でなく、云われた通り「軽い気持」で一夕の会食をしに来たのではあるが、それにしてもまだ心持の極まらない男を無理やりに連れて来て、自分達の眼の前でこんな詰め開きをして見せると云うのは、たしかに女ギャングでなければ出来ない芸当である。
貞之助は、自分たちの置かれた立ち場を随分妙なものであると感じたが、そんなことよりも、この光景を格別当惑した風もなく笑って眺めていられるような度胸を、いつか雪子が身に着けているのが、不思議であった。