そうでなくても、三十四と云う歳を考えれば当り前過ぎることだけれども、外貌の若々しさと、それに釣り合った令嬢風の服装をしているのに欺かれて、つい貞之助は今日まで彼女のそう云う変化を見落していたのであった。
が、それはそれとして、橋寺はどう云うつもりなのであろうか。
これこれのお嬢さんを見せて上げますと云う丹生夫人の言葉に釣られて、見て置いても損はないぐらいな考で出て来たのであるにしても、口で云うほど「気持が動いていない」ものならば、出て来る筈もないのであるから、見せかけよりは「動いている」と見てよいのではなかろうか。