そうこうするうち、二三十分と云ったのが一時間にもなった時分、橋寺が腕時計を見て、ではわたくしは、と、椅子を離れたので、丹生夫人も井谷も立ち上った。
まあ、でも、あなた方はええやありませんか、と、幸子は二人の女客を引き留めにかかったが、井谷は忙しい人であることが分っているので、丹生さん、あなた久振やよってに残ってて下さい、何もお構いせえしませんけど、と云うと、そんならそうさせて戴こうか知ら、晩の御飯御馳走して下さる?
………ええ、その代りお茶漬やわ、………お茶漬で結構よ、と、夫人はずるずるに居残ることになった。