まあ、でも、あなた方はええやありませんか、と、幸子は二人の女客を引き留めにかかったが、井谷は忙しい人であることが分っているので、丹生さん、あなた久振やよってに残ってて下さい、何もお構いせえしませんけど、と云うと、そんならそうさせて戴こうか知ら、晩の御飯御馳走して下さる?
………ええ、その代りお茶漬やわ、………お茶漬で結構よ、と、夫人はずるずるに居残ることになった。
夕飯の席では雪子も悦子も遠慮させて、専ら三人で話したが、今日橋寺と初対面をした幸子も、矢張彼から好い印象を受けたものと見え、夫婦は期せずして彼の人柄を褒め、雪子の意見はまだ聞いて見ないけれどもあの人ならば恐らく厭ではないのであろう、何となくそうらしいところが見える、と云う点まで観察が一致した。