白地に雲母の桐の紋のある襖が外の明りを一杯に反射しているので、室内に暗い隈が一つもなく、空気が隅々まで透き徹っていて、貞之助のくゆらす煙草の煙がくっきりと一つ所に環を作っている。
貞之助は取次のばあやに名刺を差出した時は何だか厚かましいようで気おくれがしたのであったけれども、やっぱり訪問してよかったと思った。
こうしてこの家の客となって、主人の顔色を読むことが出来ただけでも、上首尾であったと云わなければならない。
白地に雲母の桐の紋のある襖が外の明りを一杯に反射しているので、室内に暗い隈が一つもなく、空気が隅々まで透き徹っていて、貞之助のくゆらす煙草の煙がくっきりと一つ所に環を作っている。
貞之助は取次のばあやに名刺を差出した時は何だか厚かましいようで気おくれがしたのであったけれども、やっぱり訪問してよかったと思った。
こうしてこの家の客となって、主人の顔色を読むことが出来ただけでも、上首尾であったと云わなければならない。