そして、此方の方が暖かですからと、往来に面した縁側の籐椅子の方へ客を請じた。
貞之助は、手紙の返事を聞きに来たように取られたくないので、会ったら直ぐに辞去するつもりだったのであるが、硝子戸越しに射し込む日光を浴びながら、主人の例の人を外らさぬ応対の相手をしていると、つい立ちそびれて一時間ばかりしゃべり込んでしまった。
尤も話は相変らず雑談ばかりで、先日は失礼な手紙を差上げましてと、貞之助がちょっと挨拶したのに対して、いえ、御丁寧な御書面を戴きまして有難うございますと、橋寺もさりげなく答えたきり、あとは取りとめのない世間話をしたに過ぎない。