そして中之嶋の朝日ビルの角まで来ると、如何です、阪急までお送りしても宜しいですが、お差支えなかったらちょっとお降りになりませんか、と云うのであった。
ちょうど時分時なので、アラスカへ誘う気なのだと察した貞之助は、今日も亦饗応にあずかることは重ね重ねで心苦しいけれども、この機会に娘と親しんで見たくもあり、こう云う風にしてだんだん交情が深まるのは願ってもないことでもあるので、ままよと、招きに応じてしまった。
で、それから又一時間ばかり、洋食のテーブルを囲みながら漫談を交した訳であったが、今度は娘が加わったので、映画の話、歌舞伎劇の話、亜米利加や日本の俳優の話、女学校の話等々、一層たわいのないことをしゃべっただけであった。