と云うのは、女学校の制服を着て、おしろい気のない顔をしているけれども、その輪郭は既に少女型でなく、面長の、鼻筋の通った、引き締まった成人型なのであった。
そして橋寺に少しも似ていないところを見ると、母親似に相違なく、母が相当の美貌であったことも、橋寺がこの少女に依って今は亡き恋女房の面影を偲びつつあることも、ほぼ想察することが出来た。
会計の時に、今日の勘定は僕に払わして下さいと云うと、それはいけません、僕がお誘いしたのですからと、橋寺が承知しないので、貞之助は透かさず、では今日は御馳走になりますが、それなら一度僕の方へもいらしって下さい、神戸へでも御案内しますから、この次の日曜に是非お嬢さんと御一緒に、と云ってそれを承諾させ、五階のエレベーターの所で別れたが、結局、次の日曜日の約束を持って帰ったことが何よりの土産であった。