結婚の話の進行中に、その相手の男、―――而も二三度しか会ったことのない男と、二人きりで町を散歩するなんと云うことを、日頃の雪子が承知する筈のないことは、彼女と云うものを底の底まで知り抜いている姉の身には最初から分っていることで、雪子の性分として無理もないことに思えるのであるが、それでいて幸子は腹が立ってならなかった。
ロクに知らない男なんぞと外を歩いたり料理屋へ行ったりすることは如何にも厭であろうけれども、それでは幸子には兎も角も貞之助に済むまいではないか。
貞之助や幸子にしても今度は随分極まりの悪い思いをしたり節を屈したりしていることを考えてくれたら、少しは当人も勤める気があってもよいではないか。