それを一概に時代後れ、因循姑息と云う風に見んと、そう云う人柄の中にある女らしさ、奥床しさ云うもんを認めてくれる男性もあるやろうと思う。
それが分るような男でなければ、雪子ちゃんの夫になる資格はないねんな」
幸子は、自分の方があべこべに宥められて見ると、夫に済まないと云う気持がひとしお強く湧いて来たのと、なるべく雪子を可哀そうと思うように努めたのとで、腹立たしさをだんだん抑えることが出来たが、母屋へ戻って、応接間へ這入って見ると、いつの間にか二階から降りてソオファに掛けている雪子が、『鈴』を膝の上に抱いてあやしながら余りにもケロリとした様子をしているので、つい又忿懣が萌して来た。