「橋寺さんだけやあれへん、丹生さんの奥さんかて、貞之助兄さんかて、あたしかて怒ってるわ」
と、幸子は直ぐあとに続けてその言葉を叩き着けたかったのを、さすがにぐっと嚥み下してしまったが、それにしてもこの妹は果して今日の失錯を「失錯」と感じているのであろうか、それならそのように、「済まなかった」と云う一言を夫の前で云ってくれるとよいのであるが、こう云う時に気が付いていても決してそれを云わない人であることを思うと、又しても面憎くなって来るのであった。
十八
「橋寺さんだけやあれへん、丹生さんの奥さんかて、貞之助兄さんかて、あたしかて怒ってるわ」
と、幸子は直ぐあとに続けてその言葉を叩き着けたかったのを、さすがにぐっと嚥み下してしまったが、それにしてもこの妹は果して今日の失錯を「失錯」と感じているのであろうか、それならそのように、「済まなかった」と云う一言を夫の前で云ってくれるとよいのであるが、こう云う時に気が付いていても決してそれを云わない人であることを思うと、又しても面憎くなって来るのであった。
十八