小生は彼女の性質を陰気にあらずとし、却って内部に花やかさを蔵しているとさえ申上げたことがあり、今でもその言が誤りでないことを信じる者であるが、しかし女があの歳になって満足な挨拶一つ出来ないと云うことは、何としてもふつつかの至りで、貴下が御立腹になるのも御尤も千万であり、この一点を以てしても自分の妻とするに足らざる者とお断じになったとすれば、寔に已むを得ないことである。
残念ながら小生は、彼女が落第したことをハッキリと認めざるを得ない者で、もはやこの問題について貴下の御再考を懇願する鉄面皮は持ち合せない。
要するに、あの妹をああ云う時代後れの女に育てたのは家庭の躾方が悪かったので、これと申すも、母を早く失い、若くして父にも別れた境遇のせいであるけれども、小生等にも一半の責任が存することは勿論である。