が、そう云ういろいろの心づかいも水の泡に帰してしまった今、彼女は急に妙子の顔が見たくなったので、こいさんどないかしたのやろうか、電話かけて見ようかと、或る朝食堂で語り合っていた折のことであった、悦子を学校へ送って行ったお春が、なかなか帰って来ず、三時間もたって戻って、食堂をそっと覗いて見、幸子と雪子だけしかいないのを確かめると、そのまま這入って二人の傍へ忍びやかに寄って来て、
「こいさんが御病気でございます」
と、小声で云った。
が、そう云ういろいろの心づかいも水の泡に帰してしまった今、彼女は急に妙子の顔が見たくなったので、こいさんどないかしたのやろうか、電話かけて見ようかと、或る朝食堂で語り合っていた折のことであった、悦子を学校へ送って行ったお春が、なかなか帰って来ず、三時間もたって戻って、食堂をそっと覗いて見、幸子と雪子だけしかいないのを確かめると、そのまま這入って二人の傍へ忍びやかに寄って来て、
「こいさんが御病気でございます」
と、小声で云った。